つぎはぎだらけの情報システム 5

そして将来(3年後)の問題はというと、「システム開発の合理化・省力化」は依然として多いですが、「内部技術者不足」の悩みは半分に減ります。


逆に「情報処理経費の増大」(34.5%)や新技術への対応(28.2%)が増えています。


なかでも経費の増大は、目にみえて増えています。


『情報化白書』1991年度版図(日本情報処理開発協会)によると、90年度の大手企業の平均月間経費は8734万円と4年前の5464万円に比べ60%も増加しています。


その内訳をみると、機械設備(ハードウェア)費と外注費が傾向的に増えています。


同じく対月商比も90年度は5.41%と、4年前の4.49%に比較して上昇傾向にあります。


つい先日まで社内でもっとも脚光を浴びてきた情報システム部門も、その内実は悩みが多いのです。


つぎはぎだらけの情報システム 4

現実の開発体制を見ても、システム開発は依然として人手をかけた労働集約的な仕事の方法から抜
け出せず、生産性の向上もかけ声ほどは高まっていませんでした。


社内の技術者だけでは到底追いつかず、外部の情報サービス業者から技術者を派遣してもらったり、個別のシステム開発を発注して対応したものの、技術者の料金は技量の向上とは関係なく上がっていきます。


その反面で、経営環境が厳しくなっただけに、これまで以上に月々のコストや、全体のコスト・パフォーマンスを考慮しなければならなくなったのです。


メーカーや情報サービス会社は、SIと称して一括発注する方法を売り込んできましたが、これまで派遣技術者と付き合ってきた限りを見ると、とても危なっかしくて全てを任す気になれません。


ユーザー企業の情報システム部門は、どこでもこういった共通の悩みを抱えていました。河成鎮作氏によると、そのような情報システム部門が抱える課題を調査した結果が、『情報サービス産業白書』1991年版にある表にあらわれています。


これによると、現在の最大の課題は「内部技術者不足」(60.6%)、次いで「内部技術者の教育・技術向上」(41.4%)にあります。


「外部技術者不足」は4.7%と少なく、とにかく内部的な開発力や生産性の向上に最も悩んでいることが分かります。

つぎはぎだらけの情報システム 3

これでは会社全体の効率が低下し、投下資金の割には合理化効果も上がりません。


逆に負担が増えるだけで、情報化投資の最大の目的である合理化・効率化も、限界にぶちあたるばかりか、マイナス効果を生じかねません。


目先の開発を優先して、他のシステムとの整合性をとる調整や、現場の仕事のあり方を検討しなかったために起きてしまった悲劇です。


とは言え、現実には誰もが予想しきれないほど技術革新が進み、情報化が進展しました。


当初の計画を大幅に超えてシステムが増殖してしまい、気付いてみると手の付けようがないほど、つぎはぎだらけのシステムになっていました。


途中で気が付いて発した警告の声も、目先の要求に押しつぶされてしまっていたのです。


心ある情報システム部門担当者ならば、できることならもう一度初めからシステムを再構築したいと考えるでしょう。


本格的なSIS構築をめざし、前向きの情報システムへ組み換えたいとも思っているでしょう。


先端技術を駆使しながら、すっきりした構成でコスト・パフォーマンスに優れたシステムに作り直したいと夢みるでしょう。


しかし、それには膨大な手間ヒマとカネがかかります。


徐々に進めるとしても、5年後、10年後の経済環境や技術動向を見すえて、新たに情報システムを構築することは並み大抵のことではないのです。


技術者不足対策と新技術への対応も、簡単には解決しません。

つぎはぎだらけの情報システム 2

こうなると、これまでの矛盾が一気に噴出し、混沌とした状況が浮かび上がってきます。


なにしろ、これまでほとんどの企業は社内の情報化ニーズに応えることを優先してきたため、長期的展望を十分に検討する間もなく投資を続けてきたのです。


実際には将来を展望できないくらい、技術や制度や経済環境が大きく変貌し、情報システム部門は当面の要望をこなすことに追われてきました。


ところが、今になって情報システムの中身をよく見てみると、つぎはぎだらけの危うい状況になっていることに気付いてきました。


例えば、受発注システムと経理システムやPOSシステムがバラバラに開発されたため、受発注システムに一度入力してプリント・アウトしたデータを、再度、経理システムやPOSシステムに入力するなどといったニ度手間が増え、かえって仕事が増えただけといった現象もよく聞いたものです。


あるいは、現在のシステムに新しい機能を付加しようとしても、新しいプログラムが他の部分のプログラムに影響を与えないかどうか、検討・検査するだけでもかなりの時間と手間がかかるため、身動きがとりにくくなっている、といった障害が現れていました。

つぎはぎだらけの情報システム

1990年に、歴史的な株式大暴落が起きました。


日本経済全体の景気は持続したものの、最大のコンピュータ・ユーザーである銀行や証券会社は大幅な収益悪化に追い込まれ、情報化投資の内容にも見直し機運が高まりました。


情報サービス業界から技術者を大量に吸収し、技術者の需給逼迫の一つの要因になっていた都市銀行の第三次オンラインの開発もちょうど一段落ついたところで、情報サービス業界が関連不況に陥るのではないかという不安も走りましたが、幸い杞憂に終わっています。


しかし、情報システム部門の見直し機運は金融機関に限ったことではありません。


景気の先行きに不安が感じられるようになってからというもの、巨額の情報化投資に疑問の声が上がった企業も少なくありません。


景気が拡大し売り上げが増えている間は、投資の増加に異議を唱える声も少ないものでした。


しかし、利益の伸びが落ち始めると、情報化投資も聖域ではなくなります。


景気が後退するからこそ、一層のコストダウンのための投資を続ける経営者もいるでしょうが、大方は投資内容への社内チェックがきつくなり、不用不急の経費は抑えられ、投資対効果の見通しも厳しくなるのです。

山へ行こう・・・島原半島の森~長崎県加津佐町4

左に海を見ながら、断崖絶壁の細くて急な道をたどると穴観音。
切り立った崖に、海に向かって口を開いた天然の洞窟だ。

内部はけっこう広く、古びた小さな石仏がいくつも並んでいる。

ここは、キリシタン隆盛のころは仏教徒が、キリシタン弾圧のころは彼らが逃げこんだところ。

穴観音から来た道を引き返し、経塔の先から左に道を取って岩戸山の山頂を口指してみよう。

クロマツなどの中の岩場の道を登り、山頂に近づくと植物層ががらりと変わる。

岩場で乾燥しているため、背の高い木はほとんどなくなり、大陸系のイワガサとかイワシデなどが生えている。

山頂からの海の蒼さ、海岸線の美しさは例えようもない。

周囲わずかーキロの岩戸山では、たった120メートルの高低差のなかで、亜熱帯系と大陸系といった、故郷の異なる木々をともに見ることができる。
かつて島原半島全体を覆っていた豊かな森の姿を今に伝えているのだ。

山へ行こう・・・島原半島の森~長崎県加津佐町3

亜熱帯性の木々と次々に出会うそのひとつがショウベンノキ。
枝を切ると、ヘチマのように樹液がしたたり落ちることからこのような名前がつけられてしまった。

東南アジアの亜熱帯に多く、11本でも南九州以南にたくさん自生している。
また、バクチノキも、名前もさることながら面白い特徴をもつ。

春先、ぱっぱっと脱ぎ捨てるように樹皮が剥がれ落ち、そうすることで幹を太く生長させていく。
このようすを、バクチに負けて身ぐるみをはがされることに例え、この変わった名がつけられた。

こうした木々に混じりハカマカズラが巻き上がっている。

山へ行こう・・・島原半島の森~長崎県加津佐町2

深い森の小道をたどると、木木のド下にひっそりと建つ小さな観音堂に着く。
このあたりにはオガタマノキやタブノキなどの大木が目立っている。

オガタマノキは「招霊の木」と書く神聖な木。
神社などではよく見かける。3月の初旬ごろに木全体がピンクに染まるほどたくさんの花をつける。
モクレンと同じ仲間で、あたりにいい香りを撒き散らすのだ。

木洩れ日の道を南に向かって登り、鞍部から右折して穴観音に向かう木々の間からは時折青い海がのぞく。

一帯は岩戸山でももっとも特徴のある森で、亜熱帯性の木々と次々に出会う。

山へ行こう・・・島原半島の森~長崎県加津佐町

長崎県島原半島の南端近く、小さな漁船が並ぶ加津佐漁港の先に、うっそうとした照葉樹の森に覆われた岩戸山が突き出している。

この原生林は全山を亜熱帯植物が覆い、岩戸山樹叢として国の天然記念物に指定されている貴重な自然の宝庫だ。
森の入口は巌吼寺の山門。

岩戸山は古くから観音信仰の霊場だった。
寺の古めかしい、石橋を渡って森へと入っていく。

昼なお暗い林床には、大きな葉を広げたムサシアブミなど、湿気を好み太陽の光が少なくても生きていける植物が見られる。

山へ行こう・・・虹の松原~佐賀県唐津市・浜玉町4

やがて樹齢200年といわれる夢羽衣の松と出会う。

齢を重ねた松ならではの枝ぶりと、独特の灰黒色の幹に深い亀甲状の模様が風格を感じさせる。

そのほかに「虹の松原七不思議」という言い伝えのあるマツや現象をたどるのも一興だ。

踏切りに出たら、そこから車で15分ほどの鏡山展望台に登って、松原を上から見てみよう。
ゆるやかに弧を描く白砂青松の海岸線、その手前には、春なら広大な菜の花畑がじゅうたんのように広がっている。

冬は季節風が強く、また夏休みには海水浴客で混雑する。
のどかな松原歩きを楽しみたいなら、これらの季節は避けることをおすすめする。

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