悲しい女たち 3

2工場とも老杉竹樹の蒙密な中に建てられていて、終日日光が入らず、空気の流通など全くない所でした。


また、工場に必要な食堂・湯殿・寝所等の設備は少ないというより無いに等しかったのです。


同工場の製品はコールテンで、幅3尺あり、普通の織物にくらべれば労力を要するにもかかわらず価格は安く、日々の織上げを多くしないと思う程の利益を得られなかったのです。


現に埼玉県の実際の監獄で先頃女囚にこのコールテン織を織らせていましたが、その労力が不適当なので、男囚に織らせているくらいでした。


初五郎の工場では、工女1人につき日に2丈5尺を課していました。


これは年少の工女かもしくは不熟練者のものでは到底達成できない量であり、強いてそれを織ろうとして身体が疲労しそのために死んだ者は一、二に止まらなかったといわれています。


エ女は14、5歳以上25歳以下で現数24人、いずれも富山・石川県生まれの者です。


あまりの疲労で就業中おもわず居眠りを催す者や、疲労のため声をからし機歌さえ唄えなくなった者もいました。


それにもかかわらず初五郎母子は、もっと働かせるために小僧に見張らせ、坐って眠る者には容赦なくこん棒で打ちすえ・・・


あるいは病気と称して働かない者がある時は、「病人に食事は大毒なり」といって一切食物を与えなかったので、工女たちは無理をして仕事をする有様でした。


悲しい女たち 2

当例こそまさしく工女虐待の極というべき事例です。


明治35(1902)年8月20日の『時事新報』は概略つぎのような記事を載せています。


まず、はじめに当局の回答を示せば


「両女申立ノ実否ヲ探偵中」で「係ル工女待遇上ノ状況ハ精査中二有之不日御回答及為念申添候也」


・・・という煮えきらない内容のものでした。


記事は、工女虐待の件、埼玉県大宮の機織業金子初五郎(26)、実母マン(50)及び機織頭竹澤宇吉(26)、同黒須元次郎(25)の4名が、雇工女を虐待した件を以て去る6日浦和地方裁判所へ拘引された次第(判決・初五郎は重禁固2年罰金30円等)について、身の毛もよだつ惨状を記しています。


さて、監獄同様の工場は、昼夜の区別なく錠を下していました。


裏木戸も厳重に錠を下し、居宅台所から屋外へ通ずる出口も、2個の錠前を設け、昼間は家人等が交替で勝手座敷の2ヶ所で見張りをし、工女の出入りを警戒していました。


工場の建物は、2棟の平屋造りで、1つは北に向いた奥行3間、間口11間で、その中に19台の機台が据え付けられていました。


他の1棟は東向きで奥行3間、間口7間で機台8台が置かれていました。


悲しい女たち

つぎの例によると当時の警察の偏向ぶりがより明らかとなります。


大阪新聞社第6589号の雑報欄内「紡績工女誘拐者の強姦」と題する記事は、男工5人が共謀して紡績工女を誘拐し強姦した顛末について記しています。


男工たちは会社の見張り役でした。


工女5人の親は同事件に対し、総代を選び堺署に保護を願い出ています。


同署から高田警察署に照会したところ、5円の前金を借りているのでこれを返済しなければ連れ帰ることはできないが、貧者のことで5円を出せずようやく4円にまけてもらい、諸道具を売り払い金を揃え、去る10日やっと救出することができたといいます。


このことが北署の知るところとなり加害者の捜索に着手し、男工4名を捕えたが、まだ1名は行方不明です。


この事件に対する大阪警察の回答もまた紡績会社に有利な内容のものでした。


・・・すなわち前記3人の男工のうち1人は、ひそかに工女の寝床に忍び入り、情欲を遂げましたがこれは強姦ではなく和姦であるとするものでした。


つぎはぎだらけの情報システム 10

【ステージ5・・・アーキテクチュア期】


情報システムの統合が進むにつれ、新しい時代に向けて情報システムの基本的なあり方が確立します。


つまり、企業戦略を前提にしたSISのアーキテクチュア(基本的な枠組み)ができる段階です。


【ステージ6・・・分散期】


SISの枠組みが一応できると、次にパソコンやCADなど、新しい技術が基本的なアーキテクチュアの中に組み入れられ、統一されたインフラの上に乗った分散処理が確立。


ネットワーク型の情報システムへと進化します。


ノーランはさらにステージ7以降の発展段階についても研究中だと言われます。


このノーランのステージ理論を、現実に当てはめると現在はどの段階にあるのでしょうか。


アメリカでは技術的不連続性が80年ごろに発生しました。


そして現在は多くの企業が、アーキテクチュア期(ステージ5)に入り、SIS構築へと邁進しています。


それに対して日本では、技術的不連続性は通信自由化が実現した85年に本格化したと見られます。


そして、80年代後半の好景気に対応した情報化投資を盛んに行ってきたため、つぎはぎの状態に陥っているのです。


それを見直し、統合しようという動きが最も盛んです。


つまり、日本の企業はちょうど統合期(ステージ4)にあり、先進的な企業がSISを確立してステージ5に入っています。


日本の情報化レベルは、やはりアメリカに5年ほど遅れていたのです。

外国語学習の必要

今日、エキナセアを注文してみました。


届くのが楽しみですねー。


さて、外国語学習の必要を説く鴎外や漱石の文章はなかなか興味深いものがあります。


『坊ちゃん』には・・・


主人公の坊ちゃんが、初めて赴任校の校長に会う校長は教育の精神について長いお談義を聞かした。


おれは無論いい加減に聞いていたが、途中からこれは飛んだ所へ来たと思った。


校長の云うようにはとてもできない。


おれみたような無鉄砲なものをつらまえて、生徒の模範になれの、一校の師表と仰がれなくてはいかんの、学問以外に個人の徳化を及ぼさなくては教育者になれないの、と無暗に法外な注文をする。


そんなえらい人が月給四十円ではるばるこんな田舎へ来るもんか。


おれは嘘をつくのが嫌いだから、仕方がない、だまされて来たのだとあきらめて、思い切りよく、ここで断わって帰っちまおうと思った。


とうていあなたのおっしゃる通りにゃできません、この辞令は返しますと云ったら、校長は狸のような眼をばちつかせておれの顔を見ていた。


やがて、今のはただ希望である、あなたが希望通りできないのはよく知っているから心配しなくってもいいと云いながら笑った。


そのくらいよく知ってるなら、始めからおどかさなければいいのに。


・・学校の教師は、何よりもまず教育者でなければなりません。


生徒を指導するときに、生徒よりも学問において、また人間としてすぐれていなければ、教育というものはありえません。


小鳥は教えられなくとも、やがて巣から飛び立つことができます。


しかし人間はそれだけではいけません。


大人になるまで教え育てられて、はじめて人間社会に入ることができるのです。


過去の文化遺産を受けつぐ人間の世界はそこに成立します。


教師が生徒に馬鹿にされるようなところに教育はあり得ません。


現代の職人労働

研究所の主任研究員、商社の海外駐在員、大企業の営業や企画の仕事等は、誰が何といっても面白いものです。


その面白さの相当部分が組織の能力を使うことによって自己の能力を拡大しつつ大きな仕事をやりとげる面白さです。


そのような仕事の領域は現代の日本では一流大学の卒業生にはほぼ保証されています。


しかしその一方では、Tomcatのような装置や組織の機能に奉仕し、能力以下の仕事を強いられ、仕事をとおして能力を向上させる道を奪われた、大量の補助労働者・単能労働者の群れがあります。


今日、多くの大企業の底辺部分の労働者の定着率の悪さは公然たる事実です。


銀行のような場所でも例外ではありません。


中卒・高卒の新規就職者のうち男女とも半数は、就職後3年以内に転職または離職するという労働省の調査結果こうした流動の底にある人間的要求は結果などをみても一目瞭然です。


将来の職業生活についての展望を問われて、企業の外で生計を立てる展望を回答した数字は、離職・企業脱出傾向の強さを物語っています。


何よりも「専門的仕事の道」「自営業主」「免許資格のいる職業」というそれらの項目が、自らの能力・責任・自由な判断というこの領域でもっとも失われてしまったものの残されている職業・・・


現代の職人労働とでもいうべき分野であることに注目したいのです。

つぎはぎだらけの情報システム 9

そして、ステージ1からステージ3の段階をメインフレームを主体にした「事務合理化時代」、技術的不連続性を通過した後のステージ4からステージ6の段階を「情報戦略時代」と称して区別しました。


情報戦略時代は、まさに情報技術が戦略的に活用されるSISの時代です。


企業情報システムは、必然的にSISの方向へと進んでいくわけです。


【ステージ4・・・統合期】


初めの6段階発展説を発表した当時の79年ごろ、アメリカではデータベース関連投資が盛んに行われていました。


このため、情報関連費用は再び毎年20~30%の勢いで増え、普及期(ステージ2)と似た状況を示していました。


そして経営者もまた投資に見合う成果が現れるかどうかに関心を持ち始め、データベースに基づく全社的なシステムをどう構築するかを模索。


またパソコンなどの新たなコンピュータ資源を、全体のシステムにいかに組み込むかで悩んでいました。


そこでノーランは、情報システムがSISに発展する前段階として、これを統合期と位置づけました。


統合期では情報システムを経営のインフラストラクチュア(基盤)ととらえ、それを総合的に管理する姿勢が現れ、システムの統合が始まります。


即ち、それまでバラバラに自己増殖してきた情報システムが、新技術によって統合されてくるのです。

つぎはぎだらけの情報システム 8

ノーランの最初の4段階発展説では、ステージWとして「成熟期」を提示していました。


この段階では、コントロール期における締め付けを乗り越えて、全社的な立場からのコスト面からだけではない総合的な管理手法が導入され、長期的な効果を狙ったデータベース構築など、新技術への投資決定がなされると想定していました。


当初はアメリカでもまだこの段階に達している企業はなかったのですが、ノーランはこの理論によって、コントロール期における過剰管理を戒め、長期的な観点からの情報化投資を促していました。


ノーラン理論の成果か、あるいは過剰コントロール期を乗り越えるほど企業の情報化意欲が強かったためか、情報システムは4段階発展説を超えて進化していきました。


このためノーランは79年に6段階発展説を発表し、ステージ脚、V、Wを追加します。


さらに80年前後からのME革命を受けて、83年には修正6段階発展説を提唱。


ここで「技術的不連続性」の考え方を採り入れました。


技術的不連続性の以前の段階では、大型のメインフレーム(汎用)・コンピュータでバッチ処理中心にシステムが構築されていましたが、不連続性の以後の段階では、パソコン、OA機器、通信機器、CAD専用機など、新たなコンピュータ技術が導入されます。


技術の主役が交替することになり、これらを分散処理によって有機的に統合し、エンドユーザー自身による活動の推進など、多様化した情報システムのあり方が求められるようになりました。

つぎはぎだらけの情報システム 7

【ステージ1・・・初期】


最初の段階は、とりあえず技術専門家の手によってコンピュータが導入されます。


その目的は、事務コストの削減であり、管理も甘くユーザー部門の関心も薄いものです。


【ステージ2・・・普及期】


コンピュータを一度導入すると、システムは自己増殖を始めます。


情報システム部門が主導権を握り、全社的な立場や効率を考慮することなく、ユーザー部門との直接交渉で勝手に開発が進められ、それぞれのシステムが関連なくバラバラにできあがります。


ステージ理論が発表された74年当時、アメリカの大多数の企業はこの段階にあり、情報処理コストは毎年20~30%の割合で伸び続けていました。


【ステージ3・・・コントロール期】


しかし、さすがに経営者も増え続ける情報処理コストに不安を覚え始めます。


開発された情報システムもそれぞれバラバラで全体の管理が困難になり、期待したほどの合理化効果も現れなくなります。


そこで経営者は画}的に情報化投資のコスト・コントロール(経費の削減や抑制)をするようになるのです。


投資リスクが小さい、社内コストが明らかに削減されるシステムの導入は認められても、新しい技術や競争優位のための投資は認めてもらえないため、情報システム部門やユーザー部門のモラルは低下します。


つぎはぎだらけの情報システム 6

このような情報システムの発展形態を体系化した理論に、「ノーランのステージ理論」があります。


リチャード・L・ノーラン博士はハーバード大学元教授で、現在はコンサルティング会社のノーラン・ノートン社会長をつとめています。


ステージ理論はノーラン氏がハーバード時代の74年に「4段階発展説」として発表し、79年には情報化の進展とともに「6段階発展説」に成長。


予想以上に激しい技術革新に対応するため、83年には「修正6段階発展説」に進化しています。


この理論によって、企業は大きな情報化の流れの中で、自分が現在どの段階に位置し、今後どのような問題に直面し何をするべきかを理解できるとあって、コンピュータ投資のあり方について悩むアメリカの企業に一つのパラダイムとして指針を与えてきました。


理論の生まれはやや古いですが、大きな流れの理解には非常に役立つものです。


そこで、『日経コンピュータ』90年7月2日号の「ノーランのステージ理論と戦略情報システム」をベースにした「修正6段階発展説」における各段階の特徴を見てみましょう。

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